産業看護師の基礎知識「他の専門資格者との連携」
企業内医務室や健康管理室は産業医、産業看護師、産業保健師という専門資格者のスタッフから成る「チーム」によって運営されているケースが一般的です。企業で働く従業員の健康管理を考える上では、これらのメンバーが個々の役割を果たしながら、互いに連携することがとても大切です。
産業保健師は従業員の健康に問題が起こることを防ぎ、産業医は問題が起こったときに解決するための治療を行います。そして産業看護師は、双方の業務をサポートします。企業の規模などによっては産業保健師を配置せず、産業医と産業看護師だけが勤務しているという場合もあります。その場合は産業看護師が保健衛生の観点も踏まえ、産業保健師の役割も担うものとして産業医とコミュニケーションをとることが必要です。産業医は非常勤というケースも多いため、産業看護師から得られる情報によって限られた時間内で効率的な診療をすることができるかどうかが決まることにもなります。産業看護師は職場巡視などの機会を活用し、日頃から従業員や企業と密に連絡をとり、収集した情報について的確に産業医へ伝えなければなりません。
最近では特に労働環境が変化していることによって、従業員の健康管理についてはメンタルヘルスの対策が重要な課題となっています。働く人々にとって心の健康は、身体的な健康と同じように大切です。メンタルの問題に関しては、その問題が外にあらわれにくいという場合も多く、そのために産業保健スタッフと従業員とで面談の機会を持つことが重要です。しかしながら産業医が非常勤であると、その時間も限られてしまいます。そのため普段から労働の現場とも距離が近い産業看護師は、メンタルヘルスに関しても重要な役割を担います。少しでも問題が感じられれば、できるだけ早く産業医に伝える必要があります。
企業がチームワークで動いているように、企業内医務室や健康管理室もチームで従業員の健康を管理します。チームが効率的に機能するためには、情報を共有することがもっとも重要です。